梅に尾長鳥
— 梅の枝に憩う、尾長鳥の優雅な吉祥
この文様を眺めていると、梅の枝先にそっと鳥が身を休めている情景が浮かびます。
寒さの中で花を咲かせる梅と、そのそばに寄り添う尾長鳥。
自然のひとときを切り取ったような、静かで気品のある文様です。
梅は、百花に先がけ寒中に咲き誇り、芳香を放つことから、古来より縁起の良い花とされてきました。
また、尾長鳥とは、山鳥や鶺鴒(せきれい)など、尾の長い鳥を理想的な姿に意匠化したものです。
この文様は、そんな梅の木に留まり、羽を休ませる尾長鳥を配した、優雅な吉祥文様として表されています。

この意匠のもとになっているのは、明治から大正期にかけての西陣帯の裂地です。
一枚の帯として完成したものではなく、さまざまな形の小さな裂地が集められ、意匠や織りの表現を確かめるための資料のように残されていました。
小さな画面の中には、鳥の動きや枝ぶり、余白の取り方までが過不足なく織り込まれ、限られた条件の中で、いかに美しく見せるかという当時の織り手の工夫と、高い技術が感じられます。
梅の木に留まり、羽を休める尾長鳥。
華やかさの中に静けさをたたえたこの文様は、眺めるたびに、心を穏やかに整えてくれるようです。

