尾長鳥と牡丹

— 祝福を運ぶ鳥と、富貴を咲かせる花

ふわりと広がる羽、しなやかに伸びる尾。
大きく咲いた牡丹の間を、優雅に舞う尾長鳥が描かれています。
この図案は大正初期の西陣帯の裂地をもとにしたもの。織の凹凸が生む影や、細やかな文様の組み合わせから、当時の職人の高度な技と美意識が感じられます。

牡丹は、古くから「百花の王」と呼ばれた花。豪奢な花姿から 富貴・幸福・豊年 を象徴する吉祥花として親しまれてきました。また、牡丹に使われる「丹」の字は仙薬(不老不死の薬)を意味し、そこから 長寿の願い も込められるようになりました。
一方の尾長鳥は、日本で実在する鳥もモデルのひとつですが、文様の世界ではしばしば “空想上の美しい鳥” として扱われています。長く伸びた尾は「めでたさが続く」ことの象徴とされ、舞う姿は、幸運や吉兆を運んでくる存在として好まれました。

江戸から明治にかけて、舞い鳥と花を組み合わせた文様はとても人気があり、
「繁栄する家には鳥が舞い降りる」
「良い知らせは花の香りとともにやって来る」
そんな言い伝えや考え方も、人々のあいだに広まっていました。
尾長鳥と牡丹の組み合わせは、その中でも“最もめでたい組み合わせ”として格式の高い意匠に使われていたといわれます。

この図案の尾長鳥は、写実的すぎず、どこか愛らしい姿で描かれています。 牡丹の大輪と対比するように配置され、その柔らかな表情が意匠にあたたかな気配を添えています。
さらに、大正期らしい洋風の陰影表現が重なり、全体に穏やかでのびやかな空気が漂います。

富貴を象徴する牡丹と、吉兆を運ぶ尾長鳥。
二つの“めでたさ”が重なることで、日々の暮らしにそっと幸福を招き入れてくれる、華麗で優雅な吉祥文様です。

The content has been machine translated.