花立涌

— ゆらぎを抱く曲線に咲く、小さな庭のような文様

相対したゆるやかな曲線が、
ふわりとふくらんでは、また細くすぼまる——。
立ち上る水蒸気の“ゆらぎ”を表したといわれる立涌文様は、古くから 運気が上へと伸びていく“上昇”のしるし とされ、さまざまな調度品や装束にほどこされてきました。

その立涌のふくらんだ部分に、そっと花々を配したのが、この「花立涌」。
明治37年に印刷発行された図案で、古典文様の上品さと、近代らしい遊び心が絶妙に混ざりあっています。

一つひとつの枠の中には、可憐な草花が小さな花束のように描かれ、リズムよく並んでいきます。
“枠に花を入れて繰り返す” という構図は、どこか東欧の壁紙や刺繍模様にも通じる雰囲気があり、和でも洋でもない独特の愛らしさをまとっています。
明治の図案家が、西洋の意匠に触れはじめた時代ならではの柔らかなモダンさが、今見ても新鮮です。

立ちのぼる気配をまとった立涌と、そこに咲く花々の穏やかな生命力。
運気が高まり、良い縁が続くように と願いを込め、人々が暮らしの中で親しんできた吉祥文様です。

ひとつの文様の中に、古典と近代、和と洋がさりげなく寄り添う。
この明治の「花立涌」には、そんな豊かな表情が息づいています。

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