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ねじ梅

— 冬を越えて、福をひらく花

この「ねじ梅」文様は、明治32年(1899年)に印刷・発行された木版の図案帖に収められていた図案をもとにしています。当時の図案帖は、染織や工芸に携わる職人たちが意匠の引き出しとして使っていたもので、自然のかたちを写し取りながらも、平面の中でいかに魅力的に見せるかという工夫が随所に凝らされています。

梅は「百花のさきがけ」と呼ばれるように、厳しい寒さの中でいち早く花を咲かせる存在です。そのたくましさと気高さから、繁栄や長寿、春の訪れを告げる吉祥の花として、古くから人々に愛されてきました。日本では奈良時代にはすでに梅を愛でる文化があり、平安時代には和歌や絵画の題材としても親しまれるようになります。

この文様の特徴は、梅の花びらが中心から一方向に捻れながら重なり合うように表現されている点にあります。「ねじる」という意匠は、静止した花の姿を写すためではなく、画面の中に動きを生み出すための工夫でした。平面の中で、今まさに開こうとする瞬間や、内側から力が満ちていく気配を感じさせる——そんな職人の感覚が、この捻りに託されています。

また、梅の周囲に配された曲線や点の表現は、霞のようにも、水のうねりやしぶきのようにも見え、捻りのある花の動きと呼応しています。輪郭をやわらかく包み込むこれらの表現は、捻りによって生まれた動きと呼応し、季節が移ろう気配を画面に添えています。はっきりと描かないことで、かえって季節の移ろいが想像される——そんな余白も、この文様の魅力のひとつです。

可憐さの中に、力強さと兆しを秘めた「ねじ梅」。見るたびに、冬から春へと向かうわずかな時間のきらめきを思い起こさせてくれる文様です。

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