— 途切れず続く、生命のうねり
くるりと孤を描き、また別の枝へと伸びていく。
蔓(つる)や葉が軽やかに絡み合うこの図案は、遠く古代エジプトを源に持つといわれる「唐草」。
大陸を渡り、中国を経て奈良時代の日本へ伝わりましたが、どこか今も異国の風をまとい、時を超えた普遍性を感じさせます。
この図案が発行されたのは明治38年(1905年)。日本に“図案”や“デザイン”という概念が根づきはじめ、伝統の模様に新しい息吹が吹き込まれていった時代です。
伸びやかな曲線の連続、葉のリズミカルな配置は、まるで唐草の生命力をモダンに再構成したかのよう。古典の枠を守りながらも、どこか軽やかな遊び心が漂います。
唐草はその名のとおり、“どこまでも続いていく”ことを表す文様です。
途切れず伸びる蔓は、生命の流れが絶えることなく繁栄していく様子を象徴し、「長寿」「家運隆盛」「子孫繁栄」といった吉祥の意味を持つ縁起の良い柄として親しまれてきました。
暮らしの道具に描かれ、衣服を飾り、家の繁栄を願うしるしとして側に置かれてきた唐草。
明治期の図案家たちはその歴史と意味をよく知りながら、新しい時代に合う形へと軽やかに描き出しました。
絶えることのない蔓の流れ——
それは、長い時間を旅してきた文様が、今また私たちの暮らしに息づいている証でもあります。
