seisuke88® KYOTO

花唐草に小鳥

— 西陣帯に息づく、華やぎと愛嬌の文様

この文様は、花唐草がのびやかに連なり、その間を小鳥たちが軽やかに行き交う構成が特徴です。
図案帖には、ごく小さな裂地が一枚ずつ金紙で縁取られて貼り込まれており、限られた面積の中に高度な織りの技術と意匠が凝縮されていることがうかがえます。

花唐草は、蔓が途切れることなく伸び続けることから、古くより「繁栄」や「永続」を象徴する文様として親しまれてきました。そこに描かれる花は、特定の植物を写したものではなく、想像上の美しい花。写実よりも意匠としての美しさが重んじられ、時代や流行に左右されにくい文様として、装束や調度に広く用いられてきました。

その花唐草に添えられた小鳥は、大空を自由に舞う存在として、古来、人々の憧れを集めてきたモチーフです。描かれている小鳥たちは、写実的というよりも、丸みを帯びた姿で簡潔に表されており、その素朴さが文様全体に愛嬌を与えています。華やかな花唐草の中で、小さな鳥がさりげなく存在感を放つ——そのバランスも、この図柄の魅力のひとつです。

帯として仕立てられると、花唐草の流れの中で小鳥たちが顔をのぞかせたり、隠れたりするように見え、装いにささやかな遊び心を添えていたのかもしれません。歩く動きに合わせて文様の表情が変わるのも、裂地ならではの楽しさです。

花唐草の流れに、小鳥の小さな姿が加わることで、この文様はどこか楽しげで、やさしい雰囲気をまといます。きちんと意味を持ちながらも、堅苦しさはなく、見るたびに少し気持ちがほぐれる——そんな魅力を備えた吉祥文様です。

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